今年最大の政治イベントは首相交代劇だった。9月、小泉純一郎前首相が退任し、安倍晋三首相が誕生した。自民党総裁選の公開討論会は名古屋市内でも小泉政権の閣僚3人による討論が行われたが、初めに安倍総裁ありきの茶番劇の印象が強かった。新旧首相を官邸で見続けている鈴木政二内閣官房副長官(58)=愛知選出、参院議員=に2首相の違い、自民党の展望などを聞いた。
「総理が出席する(各省庁の)会議にはほとんど出席。朝から晩まで確かに忙しく、土、日曜日に(総理の)代理として出る会も少なくない。拉致問題をはじめ全力投球しているが(副長官の)仕事を通して国内外の要人と会い、人脈が広がった」と鈴木さん。
衆院議員秘書、自民党愛知県議4期を経て、参院議員2期目。2005年11月から現職。政権をまたいで務めるのは異例とされる。
"続投"が決まった時を「(退任のため)荷物を議員宿舎に移し、小泉首相の退任あいさつに同行して各党を回り、シャツからネクタイまで汗だくになり、着替えをしている時に安倍首相から電話が入った」と振り返る。
小泉政権終盤の5月、オフィスビルのような首相官邸内に入った。官邸は02年に完成。広い中庭、ホール、会議室。副長官の執務室は首相、官房長官らと同じフロア。副長官は同フロア5人の住人の1人。内部は静かで機能的な空間だが、冷たく無機質な印象も。日々国の方針が決まっているが、記者会見室を含めて国民の喜怒哀楽が遮断されている錯覚に陥る。小泉、安倍両氏、新旧首相に官邸内で間近に接してきた印象は。まず小泉評。
「小泉前首相は信念の人。日本のためと信じたことは疑わずに行動へ移す。友人が少ないという声もあるが違う。人脈はすごい。ぶれないから信頼される。幕末から明治維新の知識は歴史学者になれるほど。文学、音楽、映画にも精通。"米百俵"なども若い時からの知識に基づいているようだ。ワンフレーズは思い付きではなく練り上げられた言葉だ。われわれにはジョークも飛ばすし、公邸ではテレビの『新婚さんいらっしゃい!』も見ていた。人間味を感じた」
所信表明演説は自分で書き、側近と1回2、3時間、計8回議論、推敲(すいこう)したことも。答弁資料は速読、是非を瞬時に判断して黒白をつけて指示したという。
ともに前首相を支えて汗を流した安倍首相評は。
「わたしから見ると、この人も信念の人。多くの人の声を聞くが自分の信念は通す。APEC(アジア太平洋経済協力会議)で米中露豪のトップと一気に会談。落ち着いた物腰、フレンドリーな会話でうち解ける一方、毅然(きぜん)として言うべきことを言った。首相になって間もないのに見事だった」
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自民党郵政民営化造反組の復党騒動が安倍首相の足かせになるのではないか。
「道路特定財源の一般財源化、
復党の問題もきっちりやった。拙速ではなく、
大型機が離陸するようにゆっくり
浮上したのは支える一人として
良かったと思っている」 |
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「 道 州 制 と 憲 法 改 正 」 07年参院選の争点 07年は選挙の年。地元の愛知県知事選、統一地方選に参院選が続く。小泉前首相が"ぶっ壊した"自民は再生するのか。
「(オール与党体制が崩れた)知事選。地方自治の観点から(党本部の意志が働いた)民主の姿勢は県民の理解を得られるだろうか」
参院選の争点について鈴木さんは「道州制が一つ。首相はこの国をどうするかという点で憲法改正を目指す。国民の生命、財産を守る使命をどの党が果たせるかの選挙になる」と締めくくった。
年末の閣僚辞任などもあり07年、官邸はさらに忙しくなる。安倍丸の羅針盤を国民、県民が信じ、身を委ねるかどうか。多くの見せ場があるはずの"安倍劇場"第2幕は年明けとともに開く。 |